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Reigen Arataka
霊験研究家。霊験研究所 所長。霊験および霊験あらたかな現象を研究。霊験体験談、神社・聖地・御利益に関する情報をまとめ、私が体験してきた霊験あらたかな出来事や、皆様からいただく様々な霊験あらたかな体験を発信。相談・鑑定も承っています。
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三年越しの就職活動に終止符を打った神田明神参拝 by タケシ 様

先週、都内在住のタケシさん(27歳・男性)と喫茶店で会った。彼から連絡をもらったのは、私のサイトに「ようやく報告できることがあります」というメッセージが届いたことがきっかけだった。

タケシさんは大学を卒業後、就職活動に苦戦していた。いや、苦戦というレベルではなかったかもしれない。三年間、正社員としての仕事が決まらなかったのだ。

大学時代は真面目な学生だったという。理系の学部で、成績も悪くなかった。ところが就職活動の時期に体調を崩し、思うように動けなかった。卒業後も既卒として活動を続けたが、面接にすら進めない日々が続いた。

「百社以上受けました。書類選考で落ちるのがほとんどで」

タケシさんはブラックコーヒーをすすりながら、淡々と話した。その口調には、もう痛みは残っていないような落ち着きがあった。

アルバイトをしながらの就活。周りの友人たちはとっくに社会人として働いている。親からのプレッシャー。そして何より、自分自身への失望。タケシさんは次第に外出することも億劫になっていった。

転機が訪れたのは、今年の一月だった。

年末年始、実家に帰省していたタケシさんは、母親に誘われて初詣に行くことになった。行き先は神田明神。母親の希望だった。正直、気乗りはしなかったという。神社に行ったところで何が変わるわけでもない。そう思っていた。

元日の神田明神は、予想以上の人出だった。参拝するまでに一時間以上並んだ。寒い中、ただじっと列に並んでいると、不思議と頭が冷えてくる感覚があったという。

「並んでる間、ずっと考えてたんです。自分は本当は何がしたいのかって」

本殿の前に立った時、タケシさんは「就職できますように」とは祈らなかった。代わりに、「自分に合った道を見つけられますように」と願った。それは、三年間で初めて自分に正直になれた瞬間だったと言う。

参拝を終えて、おみくじを引いた。出たのは「末吉」。内容はよく覚えていないが、「焦らず、一歩ずつ」というような言葉があったように思う。お守りも買った。就職守ではなく、開運厄除の御守を選んだ。

その帰り道、タケシさんは母親にあることを伝えた。

「正社員にこだわるのやめようと思う。まずは契約社員とか、派遣でもいいから、ちゃんと働いてみたい」

母親は意外にも、すぐに賛成してくれた。「それがいいと思う。経験を積むことが大事よ」と。その言葉に、タケシさんは救われた気がしたという。

一月中旬、タケシさんは人材派遣会社に登録した。これまでとは違うアプローチだった。すぐに何件かの紹介があり、面談を経て、あるIT企業での派遣勤務が決まった。サポート業務で、技術職ではなかったが、それでもよかった。

二月から働き始めた。最初は緊張の連続だったが、少しずつ仕事を覚えていった。職場の雰囲気も悪くなかった。何より、三年ぶりに「社会人として働いている」という実感があった。

そして四月。

派遣先の上司から呼び出された。何かミスをしたのかと不安になったが、そうではなかった。「君、うちで正社員として働く気はないか」という提案だった。

タケシさんは耳を疑った。まだ二ヶ月しか働いていない。それなのに、正社員の話が来るとは思ってもみなかった。

「君の仕事ぶりを見ていて、ぜひうちに欲しいと思ったんだ」

上司の言葉に、タケシさんは涙が出そうになったという。その場で即答はせず、一度家に帰って考えた。そして次の日、正社員として働かせてもらうことを伝えた。

五月から、タケシさんは正社員として働いている。給料は大手企業ほどではないが、やりがいのある仕事だという。何より、職場の人間関係が良好で、毎日会社に行くのが苦にならない。

「神田明神で何か特別なことが起きたわけじゃないんです。でも、あの時確実に何かが変わった」

タケシさんはそう言って、財布から御守を取り出して見せてくれた。少し色褪せているが、大切に持ち歩いているのがわかる。

「『自分に合った道』って祈ったんですよね。で、今の会社は本当に自分に合ってるんです。大手に入っていたら、たぶん潰れてたと思います」

私はタケシさんの話を聞きながら、霊験というものの本質について考えていた。神社での祈りが直接的に願いを叶えるわけではないのかもしれない。しかし、祈ることで心が整理され、本当に必要なものが見えてくる。そして、その気づきが人生を動かす。それもまた、一つの霊験なのではないだろうか。

「今月、お礼参りに行ってきました。今度は一人で」

タケシさんは嬉しそうに話した。神田明神の境内で、改めて感謝を伝えたという。そして、新しいおみくじを引いたら「吉」が出た。

「『吉』でよかったです。『大吉』だったら、逆に怖かったかも」

そう言って笑うタケシさんの顔は、三年前とは別人のように明るかった。

就職という目に見える結果も大切だが、それ以上に、タケシさんが自分自身と向き合い、本当の願いを見つけられたこと。それこそが、この体験の核心なのだと私は感じた。

神社での祈りは、時に鏡のように機能する。自分の本当の姿を映し出し、進むべき道を示してくれる。タケシさんの体験は、そのことを教えてくれる貴重な記録だと思う。

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